鉄を錆から守り、資源を大切に。
鉄鋼製品の表面に施された亜鉛めっき被膜は、外部の腐食環境から鉄鋼製品を保護する保護被膜となります。更に、亜鉛は鉄よりイオン化傾向が高いため電気化学作用を起こして鉄素地への腐食を防止します。主な用途は、鉄塔、鉄骨、ボイラー、仮設機材、グレーチング、冷凍機器、造船関連、防音、防護壁関連、橋梁関連、鉄道関連、用水用カバー、各種継手、鋳造品等 近年は、鉄筋の耐久において塩害対策が重要課題となり、大森グループは、「鉄筋コンクリート用溶融亜鉛めっき鉄筋」の認定を取得しました。
溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し、表面に亜鉛皮膜を形成する技術です。
亜鉛めっき加工を施した鋼材は、錆びや腐食を発生しません。塗装や電気めっきなどとは異なり、亜鉛と鉄から形成される「合金層」により、亜鉛と鉄が強く金属結合しているため、長い年月を経てもめっきは剥がれることがありません。
鉄を錆から守り資源を大切にする溶融亜鉛めっき製品は、あらゆる分野で使用されています。
脱 脂
油脂類が付着していると酸洗作業をさまたげ、不めっきの原因となるのでアルカリ液の加熱槽に浸漬し脱脂を行います。濃度 8~14%
温度 50~90℃
酸 洗
塩酸液中に浸漬して素材表面の錆を溶解除去します。酸化スケールが残っていると良いめっきができません。また、酸洗中に素材がおかされないように、塩酸液には抑制剤を添加します。濃度 7~23%
温度 常温
フラックス処理
塩化亜鉛アンモニウムの溶液に浸漬し、フラックス処理を行います。これによって酸洗後に生成した素材表面の酸化物や酸洗で除去できなかった微量の酸化物を 除去するとともに、めっき時の鉄と亜鉛との反応を促進させます。濃度 23~33%
温度 60~80℃
亜鉛めっき
フラックス処理の終わっためっき素材を、亜鉛めっき槽に浸漬してめっきを行います。亜鉛の付着量は亜鉛の温度と浸漬時間により管理いたします。亜鉛浴純度 97.5%以上
温 度 440~460℃
1.溶融亜鉛めっきに関する日本産業規格
●JIS H 0401 溶融亜鉛めっき試験方法
2.めっきの種類
表1- 種類の記号及び膜厚並びに適用例
種類の記号 | 膜厚(㎛) | 適用例(参考) |
---|---|---|
HDZT 35 | 35以上 | 厚さ5㎜以下の素材、直径12㎜以上のボルト・ナット、厚さ2.3㎜を超える座金などで 遠心分離によって亜鉛のたれ切りをするもの又は機能上薄い膜厚が要求されるもの |
HDZT 42 | 42以上 | 厚さ5㎜を超える素材で、遠心分離によって亜鉛のたれ切りをするもの又は機能上薄い 膜厚が要求されるもの |
HDZT 49 | 49以上 | 厚さ1㎜以上の素材、直径12㎜以上のボルト・ナット及び厚さ2.3㎜を超える座金 |
HDZT 56 | 56以上 | 厚さ2㎜以上の素材 |
HDZT 63 | 63以上 | 厚さ3㎜以上の素材 |
HDZT 70 | 70以上 | 厚さ5㎜以上の素材 |
HDZT 77 | 77以上 | 厚さ6㎜以上の素材 |
3.めっきの品質
有効面に適用されるめっきの品質は、次のとおりです。
外観……使用上支障のある表面状態で、規定を上まわる次のものはあってはならないとされています。
不めっき及び剝離・接合部及び嵌合部のたれ並びに鋭利なたれ・腐食性のあるかすびき
膜厚……膜厚は 表 1 による。
4.膜厚と付着量の関係
膜厚に対応する付着量の関係は 表 2 のとおりです。
表2- 膜厚と付着量の関係
膜 厚 | 旧JIS規格(付着量) | |||
---|---|---|---|---|
種類の記号 | 膜厚 (㎛) | 種 類 | 記 号 | 付着量(g/㎡) |
HDZT 35 | 35以上 | 1種 A | HDZ A | 250以上 |
HDZT 42 | 42以上 | 1種 B | HDZ B | 300以上 |
HDZT 49 | 49以上 | 2種 35 | HDZ 35 | 350以上 |
HDZT 56 | 56以上 | 2種 40 | HDZ 40 | 400以上 |
HDZT 63 | 63以上 | 2種 45 | HDZ 45 | 450以上 |
HDZT 70 | 70以上 | 2種 50 | HDZ 50 | 500以上 |
HDZT 77 | 77以上 | 2種 55 | HDZ 55 | 550以上 |
1.耐食性にすぐれています。
溶融亜鉛めっきは鉄鋼製品の表面に亜鉛の保護被膜を作り、電気化学作用(ガルバニックアクション)による優れた防効果が得られるので大気中や海水中、土壌中に於いても優れた耐食性能を発揮します
3.隅々まで均一にめっきができます。
めっき層に浸漬してめっきを行いますので、パイプの内側や、タンクの内面などの中空体で目に見えない部分、手の届かない部分でも完全に均一なめっきができます。
4.経済性に富んだ防食方法です。
長期間にわたって防食効果がありますので、(地域差があります)補足的な防食手段はほとんど必要ありません。理論的には表面の亜鉛めっき層が電気化学作用により完全に消耗されつくすまで鉄鋼製品を から守りますので、長期の防食を目的とする場合、他の防法と比較して最も経済的な方法です。